NPO法人朝鮮通信使縁地連連絡協議会 善隣友好の道

ユネスコ記憶遺産申請書

活動経過

事業概要

事業名 朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産日韓共同登録推進事業
期間 2012年~登録時まで
場所 国内の縁地連加盟都市及び韓国
構成
  • 朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産登録のためのセミナーやシンポジウム
  • 朝鮮通信使関連専門家及び関係者会議
  • 登録対象選定及び申請書作成のための学術会議
  • 対外広報(友好交流イベント、朝鮮通信使行列再現人形展示など)
  • その他この事業の目的を達成するために必要な事業
推進機関
  • 日本側: NPO法人 朝鮮通信使縁地連絡協議会
  • 韓国側: 財団法人 釜山文化財団

登録までの流れ

  • 朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産登録関連の国際学術シンポジウム開催で登録可能性模索
  • 日韓両国の民間団体を中心に事業推進合意
  • 日韓両国の推進部会(委員会)及び学術委員会構成
  • 日韓共同学術委員会で登録対象の選定基準確定後、各自登録リスト案を提出し、共同会議で合意の上登録対象を決定
  • 日韓共同学術委員会で決定された事項は日韓共同推進委員会で議決し確定
  • 日韓共同の申請書作成後、英訳文作成(委託)
  • 共同登録推進調印式後、ユネスコ委員会に申請書提出
  • ユネスコ諮問機構の世界記憶遺産国際諮問委員会(ICA)の評価後、ユネスコ事務局長が登録可否の最終決定行い、登録が決定される

日本側の推進部会構成現況

  • 日本推進部会: 自治体 13、民間団体 3
    – 自治体
    対馬市、下関市、長浜市、壱岐市、近江八幡市、静岡市、瀬戸内市、福山市、呉市、京都市、上関町、日光市、名古屋市
    – 民間団体
    芳洲会(長浜市)、朝鮮通信使対馬顕彰事業会(対馬市)、公益財団法人蘭島文化振興財団(呉市)
  • オブザーバー:長崎県、山口県、福岡県、滋賀県
  • 部会長 松原一征(NPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会 理事長)
    副部会長 中尾友昭(下関市 市長)
    顧問 西村幸夫(前日本ユネスコ国内委員会委員、東京大学教授)
  • 推進部会事務局: 阿比留正臣(事務局長)、石田万幾子

日本側の推進部会
(推進部会設立会議の様子 長浜市)

  • 学術委員 6名(委員長1名、副委員長1名)
    – 学術委員長
    仲尾 宏(朝鮮通信使地域史研究部会 会長)

日本学術委員名簿

役職 氏名 所属
委員長 仲尾 宏 朝鮮通信使地域史研究部会 会長
副委員長 町田 一仁 下関市立考古博物館 館長
委員 貫井 正之 東海地方朝鮮通信使研究会 代表
委員 倉地 克直 岡山大学 特任教授
委員 齋藤 弘征 対馬市文化財保護審議会 会長
委員 佐々木 悦也 長浜市観音の里資料館 参事

– 顧問
上田 正昭(京都大学名誉教授、高麗美術館館長)

日本学術委員会設立会議
(日本学術委員会設立会議の様子 神戸市)

日本側の推進事業経過

2012年

‘12.5.5 朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流会釜山大会開催
– ユネスコ共同登録推進提案(釜山文化財団)
‘12.10. 1 特別講演会 ユネスコ登録への道をさぐる(対馬市)
‘12.10.19 朝鮮通信使ユネスコ文化遺産登録国際シンポジウム参加(釜山市)
‘12.11.21 縁地連臨時大会において事業推進を決議(京都市)

2013年

‘13.6.12 文科省・外務省訪問、政府要望書提出
‘13. 7~8 日本側の資料についてデータ整理作業
‘13.10.18 縁地連、長崎県、研究部会と三者会議
‘13.11. 2 縁地連瀬戸内大会において専門部会設置承認

2014年

‘14.1.21 第2回三者会議(縁地連、長崎県、研究部会)
‘14.3.4 釜山文化財団と朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産登録関連協議 (釜山)
‘14. 5.21 朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日本推進部会設立(長浜市)
‘14. 5.22 文科省等関係機関への報告
‘14. 6.23 朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日本学術委員会設立(神戸市)
‘14.8.8 第2回日本推進部会(京都市)
‘14.8.24 第2回日本学術委員会-概要案・リスト案検討
‘14.8.25 第1回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓合同推進会議(下関市)
‘14.9.16 第1回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓合同代表者会議(福岡市)
‘14.10. 6 第3回日本学術委員会(大阪市)
‘14.10.27 第3回日本推進部会(岡山市)
‘14 11. 3 第4回日本学術委員会(川越市)
‘14.12.20 第1回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(釜山市)

2015年

‘15. 1.15 舞鶴市引揚記念館訪問 申請経緯聴取
‘15. 1.16 第5回日本学術委員会(岡山市)
‘15. 1.31 第2回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓代表者・共同学術会議(長崎市)
‘15.2.1 朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産登録シンポジウム(長崎市)
‘15. 2.23 文科省・外務省報告、交流議員の会 河村会長面談
‘15.3.6 第3回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(下関市)
‘15. 3.25 第6回日本学術委員会(岡山市)
‘15. 4. 3 第4回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(釜山市)
– 暫定リスト確定
‘15. 4.10 京都大学図書館資料調査
‘15. 4.15 リスト資料カード作成依頼(事務局)
‘15. 3.25 第4回日本推進部会(岡山市)
‘15. 5. 1 第2回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓合同推進会議(釜山市)
– 暫定リストの発表
‘15. 5.11 第7回日本学術委員会(岡山市)
‘15. 7. 9 第8回日本学術委員会及び第5回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産
日韓共同学術会議(代表者会議)(福岡市)
‘15. 7.14 高麗美術館資料調査
‘15. 8.23 第9回日本学術委員会(下関市)
‘15. 8.24 第6回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(下関市)
– 登録対象関連追加及び申請書作成関連論議
‘15. 9. 4 壱岐市資料調査
‘15. 9.30 第10回日本学術委員会(岡山市)
‘15.10. 2 第7回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(釜山市)
– 申請書案検討
‘15.10.15 日本学術委員会申請書編成会議(岡山市)
‘15.10.20 東京国立博物館訪問
‘15.10.21 文科省、外務省訪問 – 推進状況報告
‘15.10.28 第4回日本推進部会(名古屋市)
‘15.11. 7 第8回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(大阪市)
‘15.12. 2 第9回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議
(代表者会議) (釜山市)
‘15.12. 8 第10回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(釜山市)
– 申請書内容の確認と決定
朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同登録推進経過報告会
‘15.12. 8 第10回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術会議(釜山市)
– 申請書内容の確認と決定
朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同登録推進経過報告会
(釜山市 APECハウス)

2016年

‘16. 1.12 第11回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同学術代表者会議
(福岡)-最終案決定、調印式協議
‘16. 1.29 第3回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同推進会議
朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓共同申請書調印式(対馬市)
‘16. 2.10 朝鮮通信使交流議員の会総会で進捗状況説明(東京)
‘16. 3. 4 第12回朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日韓代表者会議(福岡市)
‘16. 3.30 ユネスコ委員会へ申請書発送(釜山郵便局から郵送)

朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日本学術委員会 仲尾宏委員長の経過報告

朝鮮通信使ユネスコ日本学術委員会は、NPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会に組織されました朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産日本推進部会の学術的諮問機関として、2014年6月21日に神戸市において設立されました。

構成メンバーのお名前等はお手元の資料に記載のとおりでございます。
朝鮮通信使を主たる研究テーマとしている歴史研究者3名、並びに朝鮮通信使資料の発掘や保存に係わって来た文化財保護の分野において十分な経験と専門知識を有する3名の合計6名により構成されています。

設立の日から延べ10回にわたり日本学術会議を開催しました。まず、資料リストの選定に着手しました。日本における朝鮮通信使関係資料は、通信使が通ったルート以外の場所でも発見されており、数えきれないほど残っています。その中から一つひとつ選定するのは至難の業です。


ユネスコには重要な基本的基準があります。真正性と唯一性、希少性と完全性、来歴の明確さと世界史的重要性です。このようなユネスコの記憶遺産選定基準に照らし、日本学術委員会では、二つの選定基準を設定いたしました。

まず一つ目は、国・県・市町の文化財指定がしてあることです。すでに文化財指定であれば、その文化的価値としての重要性は明かであり、真正性も担保されます。また保存についても自治体等が責任をもっています。

二つ目は博物館、資料館、図書館等公共的な所蔵機関に保管・管理されているものです。中には文化財指定をされていない貴重で重要な資料があります。こうした公的機関が所蔵管理してあれば、保存管理に問題がなく、ユネスコの保存管理基準を満たすことができるからです。

この二つの基準をどちらか満たす資料に限りました。

関係自治体に推薦する資料を提案していただき、この基準に沿って選定作業を行いました。中には東京国立博物館所蔵の国書や大阪歴史博物館の辛基秀コレクションなど、日本学術委員会が登録すべき資料として独自に提案し選定しているものもあります。また、各委員が手分けをし、各所蔵所に足を運び現地調査も実施しております。

日本側の資料リストについては、申請リストを参照願います。

日韓共同による学術会議は11回開催されました。日韓共同学術会議では、今回の登録資料の期間を日本の江戸期、つまり1607年~1811年の12回の通信使行を対象にするということ、また、外交記録、旅程の記録、文化交流関係記録という3つのジャンルに分かることなどを協議し、双方の合意を確認しました。

また、日韓双方の選定した資料について共同で検討し、最終リストの決定を行ました。また、申請書本文の作成、別紙資料の作成など、日韓の学術委員による申請書作成が進められ、最終案が固まったところです。


結びに、「朝鮮通信使に関する記録」の世界史的な重要性について述べたいと思います。

朝鮮通信使の往来は、単に戦争再発を防ぐための暫定的な処置を超え、持続的に平和体制を模索しました。約200年間あまり、朝鮮通信使の往来を繰り返しながら、両国は平和的外交の方法と理論を確立しました。その詳細な内容が日韓の多くの資料に記録されています。

今回の資料リストは、通信使往来の原則と目的などについての具体的な記録であり、まさに朝鮮通信使往来の総合的な記録資産と言えます。また、朝鮮通信使の往来に行われた数多くの文化交流の記録は「通信」の実践的な結果物であります。

このように朝鮮通信使の記録物は長い間、平和体制の構築を目的に行われた外交的実践の結果物であるという点で、世界史的重要性を持っています。この点で、朝鮮通信使の記録物は17世紀~19世紀の東アジアだけでなく、現在も戦争と葛藤を越えて人類の平和的な共存と交流を追求する上で、模範的なテキストになることができると考えます。

さらに付け加えると、「朝鮮通信使に関する記録」は、過去の平和構築と文化交流を伝える文化財として、今も現地の人々によって大切に保存されている点に大きな特徴があります。文化財は文化を証明するものであり、未来を創造する糧となるものであります。この記録が両国の未来のみならず、東アジア、ひいては世界の平和構築と相互理解に大きく貢献するものであることはいうまでもありません。必ずやユネスコ記憶遺産に登録される価値があると信じています。

一番左が仲尾宏委員長
(一番左が仲尾宏委員長)

韓国側の推進委員会構成現況

  • 推進委員 37名(共同委員長 3名、顧問 2名、副委員長 2名)
    – 委員長
    李文燮(釜山文化財団 代表理事)、張濟國(東西大学校 總長)、鄭在貞(ソウル市立大学校 教授)
    – 顧問
    姜南周(前 釜慶大学校 総長)、李龍欽(一信設計事務所 会長)
    – 副委員長
    崔和秀(奉生文化財団 副理事長)、姜大敏(朝鮮通信使学会 会長)
  • 実行委員: 15名(実行委員長 1名)
    – 実行委員長
    張濟國(東西大学校 総長)
  • 学術委員 11名(委員長 1名、副委員長 1名)
    – 学術委員長
    姜南周(前 釜慶大学校 総長)

韓国学術委員名簿

役職 氏名 所属
委員長 姜南周 (前)釜慶大学校 総長
(前)釜山文化財団 代表理事
副委員長 姜大敏 朝鮮通信使学会 会長
委員 許敬震 延世大学校 国語国文学科教授
委員 李薰 翰林大学校 研究教授
委員 金東哲 釜山大学校 史学科教授
委員 朴花珍 釜慶大学校 史学科教授
委員 鄭成一 光州女子大学校 サービス経営学科 教授
委員 韓泰文 釜山大学校 国語国文学科教授
委員 チョンソル漢医院院長
委員 具智賢 鮮文大学校 国語国文学科教授
委員 鄭勳植 釜山大学校 国語国文学科講師

  • 推進委員会事務局: 朴承桓(事務局長)、金泫昇

通信使のイラスト

対馬